*Bicycle Life

目立つということ。

 私たち自転車乗り、特にローディーと呼ばれるロードバイク(ロードレーサー)に乗っている者は、別に目立とうと思っている訳ではなくとも目立ってしまう。カラフルな自転車に乗り、エイリアンのようとも形容されるヘルメットをかぶり、 派手なジャージに身を包み普通の感覚よりかなり早いスピードで走っていくのだから、目立つなという方が無理な亊だ。

 信じられないのは、その目立つなりで交通違反をしたりゴミのポイ捨てをする。

 自分がどう世間から見られているか気にしたことが無いのか?。私がロードに乗り走りにいくときには、かなり気を遣ってルールを守るようにしている。 もちろんすべての交通法規に精通している訳でもないし、間違えて覚えていることもあるだろうから、絶対正しいなんて思ってもいない。ほんの数年前まで2段階右折のルールを間違えて覚えていたくらいだ。

 確信犯的に守っていないルールもある。横断歩道に併設されている自転車横断帯を渡らない亊と信号で停止ラインより前に出て止まることだ。これは左折車両に巻き込まれたく無いから取っている行動だが、もちろん違反をする言い訳になるとは思っていない。お巡りさんに見つかればおとなしく検挙される気でもいる(言い訳はしてしまうだろうが)。目立っていることを考えれば自重すべきだが、事故が怖いのでつい安全策を取ってしまう。 そのルールを完全に分かっていて、問題視するドライバーや歩行者がほとんどいないだろうと思っているせいもあるが。

 そんな私が言えた義理ではないが、誰でも知っているようなことを守らない理由が分からない。信号無視や右側通行をしたり歩道を高速で走ったり、酷いのになるとノーブレーキピストで公道を走る。 先日芸人が捕まったが、その後で競輪選手も捕まっている。いったい何を考えているのか???。

 目立つと言うことは、批判に晒されやすいという亊だ。あまりに酷いことをすれば、スポーツ自転車自体が禁止されたり、走る場所が制限されたりする事もありうるのではないだろうか。

 日本人は責任を行政に押し付けたがり、そして行政は責任を取りたくない為、すべてを禁止する。今までも、そんな流れで許可されないことや、禁止されて入ることも出来なくなった場所はかなり多いと思う。 公園なのに芝生に入ってはいけないとか、ペットを連れてきてはいけないとか、ボール遊びをしてはいけないとか、走ってはいけないとか・・・・・。

 目立つ者が違反行為をすれば、そういった流れに持っていきやすくなる。自転車のことが嫌いな個人や団体が、実例をあげてネガティブキャンペーンをすれば、行政として何か規制する事にもなるかもしれない。 個人であれば、法制化される前なら「何を言ってる?そんな戯れ言は無視だ!」で済むかもしれないが、事が大きくなり行政として看過出来ない事となれば、一気に『すべて禁止!言い訳は聞かない!!』なんて事になるかもしれない。

 喫煙の規制などはいい例ではないか。私も喫煙者で肩身の狭い思いをしているが、そうされても仕方がないことを喫煙者はしてきた。人ごみの中で歩きタバコをし、吸殻をポイ捨てする。いまだに車の窓から火のついたタバコを捨てる行為を目にするし、公園のベンチの足元には吸殻が転がっている。

 これでは、規制するなという方が無理だろう。近い将来法律でタバコは禁止、となってもおかしくない。そしてそうなったとしたら、その根本理由は喫煙者本人のマナーの悪さのせいではないだろうか。

 もちろんそんな無頼な輩ばかりではないし、しっかりルールを守りマナー良くしている方のほうが多いと信じている。しかし良い多数の行為が目立たず、悪い少数の行為が目立ってしまうのが現実だろう。人は、他人の良くない行為が目につくものだから。

 将来スポーツ自転車がすべて禁止となり、その理由が現在乗っている我々のルール無視やマナー違反のせいだとしたら・・・。 そんなことにならないよう、目立つ者は目立つことを利用して他の模範となり、自身にとってより良い環境を作るよう努力するべきだと思っているが、いかがでしょうか?。

2011.12

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